こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingo(しんしん)です。
私たちは日々、さまざまな出来事の中で生きています。仕事のプレッシャー、人間関係のすれ違い、将来への不安、思い通りにいかない自分への苛立ち。目まぐるしく過ぎていく毎日の中で、ふと立ち止まって、「私は、なんのために頑張っているんだろう?」と考える瞬間があるかもしれません。
誰かのために、自分の夢のために、あるいはただ目の前のことをこなすために。それでも、踏ん張れる理由は何なのでしょうか?
そんな問いの答えは人それぞれ違うものですが、そこには必ずといっていいほど“心の支え”となる何かがあることに気づくはずです。目には見えないけれど、確かにそこにある、自分を内側から支えてくれているもの。それがあるからこそ、私たちはまた一歩を踏み出すことができるのです。
今回の記事ではそんな心の支えの大切さをお伝えします。
心の支えとは?
心の支えとは、困難や不安、迷いに直面したとき、自分の内側を立て直してくれるものです。それは目に見えるものかもしれませんし、心の中にある“思い”や“信念”のような形のないものかもしれません。
- そばにいてくれる家族や友人
- 大切にしている趣味やライフワーク
- 支えてくれた言葉
- 忘れられない経験
- 信じている価値観や哲学
- ペットや自然との触れ合い
そういった存在が、私たちの心をそっと守り、また歩き出す力をくれるのです。
「支えがない」と感じるとき
一方で、「自分にはそんな支えがない」と感じる人もいるかもしれません。忙しい毎日をこなすうちに、心に余裕がなくなり、自分が何に支えられているのかも見えなくなることがあります。朝起きて、通勤して、仕事をして、帰宅して、寝る。この繰り返しの中で、自分の気持ちに目を向ける時間すら取れないという方も多いのではないでしょうか。
特に現代は、SNSや情報の波にさらされて、「人と比べること」が当たり前になっています。誰かの幸せそうな投稿を見るたびに、自分の足りなさばかりが気になって、「自分は何も持っていない」と思い込んでしまうのです。周囲の輝きがまぶしく見えるほど、自分の小さな日常が色あせて感じられてしまうこともあります。
さらに、「誰かに頼るのは甘えではないか」「自分だけがこんなに弱いのではないか」といった思い込みが、自分の感情を押し殺してしまう原因になっていることもあります。しかし、実際には誰もが少なからず何かに支えられて生きています。それに気づけるかどうかだけの違いなのかもしれません。
小さな“支え”に気づく力
たとえば、毎朝入れるコーヒーの香りにホッとしたり、好きなアーティストの音楽に心が軽くなったり、誰かの「ありがとう」に救われたり。そんな些細な出来事が、気づかないうちにあなたの心を支えてくれていることは、ありませんか?
心の支えは、大きくて立派なものだけではありません。むしろ、日常の中にひっそりと存在している“小さな安心感”の積み重ねこそが、本当の支えになるのです。
カウンセリングの現場から
私は心理カウンセラーとして、日々さまざまな悩みを抱える方とお話をしています。その中でいつも感じるのは、「どんな人にも、かならず何かしらの心の支えがある」ということです。
ある方は、幼いころに祖母からかけられた「あなたは大丈夫よ」という言葉を思い出して涙されました。またある方は、「失敗しても自分を責めない」と決めてから、生きることが少し楽になったと話してくださいました。
ある40代の女性は、「毎朝犬と散歩をすることが唯一の癒やし」とおっしゃっていました。職場でのストレスが多く、家に帰ると家事や子育てで気が抜けない。そんな日々の中で、犬との時間だけが自分を取り戻す大切な時間になっていたそうです。
支えは、時に自分の中にすでにあって、それに気づくかどうかだけなのです。
支えが揺らぐとき
誰かや何かに支えられていても、それが揺らぐときがあります。たとえば、大切な人との別れや、仕事や環境の変化。これまで自分を保っていた支えが急に失われたように感じる瞬間です。
そんなときは無理に前を向こうとせず、少し立ち止まってもいいのです。気持ちを整えるために、泣いたり、話を聞いてもらったり、ぼーっと過ごす時間も、心を回復させるためには必要なことです。
心の支えは、ひとつではありません。ひとつが弱ったときは、別の小さな支えに助けてもらってもいいのです。
あなたの心の支えを見つける3つの問い
もし今、「自分には心の支えがない」と感じているなら、次の3つの問いを、自分に投げかけてみてください。
- 過去に自分が乗り越えられた出来事は何か?
- その時、自分を支えてくれた人や言葉、行動は何だったか?
- 今、自分が「これだけは大切にしたい」と思っているものは何か?
これらの問いに答えていくうちに、「ああ、あの時の自分、頑張ってたな」とか、「あの人の存在があったから、前に進めたんだな」という発見があるかもしれません。
さらに、「どんなときに気持ちが少し楽になるか?」「何をしているときに自分らしくいられるか?」といった問いも、自分を見つめるヒントになります。
支えは“育てる”こともできる
もうひとつ大切なのは、「心の支えは、自分で育てていける」ということです。
- 新しい趣味を始める
- 日記や感謝ノートをつける
- 気の合う人とのつながりを大事にする
- 自分を責めない習慣をつける
こうした日々の積み重ねが、いつしか大きな支えとなって、未来の自分を救ってくれるかもしれません。
心の支えとは「与えられるもの」ではなく、「自分の中に見つけていくもの」。そう考えることで、人生の困難にも少しずつ柔らかく向き合えるようになります。
まとめ
「あなたの心の支えは、何ですか?」
すぐに答えが浮かばなくても大丈夫です。心の支えは、無理に探しにいくものではなく、ある日ふと気づくものかもしれません。ゆっくりと、自分の心の声に耳を傾けてみてください。忘れていた記憶の中に、さりげなく日常の中に、きっとあなたを支えている何かが、見つかるはずです。
たとえば、雨上がりの空に虹を見つけて嬉しくなったこと。疲れた夜に、お気に入りの香りのアロマが心を落ち着けてくれたこと。そういったささやかな瞬間が、実はあなたの心を支えてきたのかもしれません。
どんなに小さな支えでも、それはあなたの人生にとってかけがえのない存在です。人によっては、それが信念であったり、思い出の品であったり、あるいは「こうありたい」という理想の姿だったりもします。そしてそれは、これから先の人生でも、あなたの力になってくれることでしょう。
どうか、自分の心の支えを大切にしてください。それがあるだけで、人は想像以上の力を発揮することができるのです。
そして、誰かの支えになれるあなた自身の優しさも、どうか信じてあげてください。あなたの存在が、きっと誰かの灯になっていることを、忘れないでいてほしいと思います。
しんしん心理研究所では自分らしく自分のために生きる人を全力で応援しています。
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