こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingo(しんしん)です。
「もっと自分軸で生きたほうがいいよ」
「あなたって他人軸になりがちだよね」
こんなことを言われた経験はありませんか?
最近では自己啓発や心理学の文脈でもよく使われる「自分軸」「他人軸」という言葉。でも、そもそも「自分軸」って何?そして、それがあるとどうなるの?今回はそんな疑問にやさしく答えていきます。
私たちが日々の暮らしの中で直面するさまざまな選択や判断。そのひとつひとつに、自分の意志がどれくらい反映されているかを振り返ったことはありますか?「友達に誘われたから断れなかった」「本当は休みたかったけど、周りが頑張っているから自分も無理した」そんな経験、誰にでもあるはずです。
一見、周囲に合わせて行動することは協調性があっていいことのように思えるかもしれません。でも、もしそれが「自分の気持ちを犠牲にする」形になっているのだとしたら、少し立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。
今回の記事では、「自分軸ってなんだろう?」という基本的な問いから始めて、それがなぜ大切なのか、そしてどうすれば育てられるのかを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。心が少し軽くなり、自分らしく生きるヒントが見つかる時間になれば嬉しいです。
1. 「自分軸」と「他人軸」
「自分軸」と「他人軸」のちがい
まずは簡単に、「自分軸」と「他人軸」の違いを見てみましょう。
◎ 自分軸とは?
「自分の価値観・感覚・考え方を大切にして選択・行動すること」
つまり、自分が「どうしたいか」「どう感じているか」「何を大切にしたいか」を中心にして、物事を決めていく生き方です。他人の意見や評価も参考にはしますが、最終的な判断は自分の内側から生まれるという感覚です。
◎ 他人軸とは?
「他人の価値観・期待・評価に従って選択・行動すること」
例えば、「上司に嫌われたくないから本音を言えない」「親が喜ぶ進路を選んだ」「SNSの“いいね”が気になって自分を偽ってしまう」こんなふうに、他人の反応を気にしすぎて、自分の本心がわからなくなってしまう状態です。
・なぜ、私たちは「他人軸」になってしまうのか?
多くの人が無意識のうちに「他人軸」で生きています。これは決して悪いことではありません。私たちは社会の中で人と関わりながら生きているので、他人の期待やルールに合わせることは必要なことでもあります。
ただし、「他人軸」が強くなりすぎると、こんな状態に陥ってしまいます。
- 自分の気持ちがわからなくなる
- 何かを決めるのにすごく迷う
- 断るのが苦手でいつも無理をしてしまう
- 他人にどう見られているかが気になって疲れる
- 自分に自信が持てない
「いい人」「空気が読める人」「頑張り屋さん」と言われる人ほど、実は心の中で苦しくなっていたりします。
・自分軸を持つとどうなるの?
では、「自分軸」が育つとどうなるのでしょうか? たとえば、こんな変化が起こります。
- 自分の感情や本音に気づきやすくなる
- 人に流されずに、自分の意思で選択できる
- 他人に振り回されず、穏やかな気持ちでいられる
- 断ることに罪悪感を感じにくくなる
- 失敗しても、自分を責めすぎなくなる
- 「これでいい」と思える自信が育つ
つまり、「自分らしく生きられるようになる」ということ。無理に頑張らなくても、自然体で心地よく過ごせるようになっていくのです。
2. 自分軸を育てるための3つのステップ
では、どうしたら自分軸を育てられるのでしょうか? ここではシンプルで実践しやすい3つのステップをご紹介します。
・「自分の本音」に気づく習慣をつける
まず大切なのは、「私は本当はどうしたい?」「何が心地よい?」と自分に問いかけること。日記を書いたり、静かな時間に心の声に耳を澄ませるのも効果的です。
- 今日あったことで嬉しかったこと
- 嫌だったこと
- やりたかったけど我慢したこと
これらをメモするだけでも、自分の傾向が少しずつ見えてきます。
・小さな選択を自分で決めてみる
「今日のランチは何を食べたい?」「今の気分はどっちがいい?」など、日常の小さなことから「自分で決める」経験を積んでいきましょう。最初は他人に合わせるクセが出てしまうかもしれませんが、それに気づけるだけでも一歩前進です。
・他人の目を意識しすぎたときは立ち止まる
「こう言ったらどう思われるかな…」「嫌われたらどうしよう…」と感じたときは、一度深呼吸して自分にこう問いかけてみてください。
「私は本当はどうしたい?」
その答えが、自分軸のヒントになります。
自分軸は「わがまま」じゃない
「自分軸で生きる」と聞くと、「自己中心的」「わがまま」と思われることを不安に感じる人もいるかもしれません。
でも、自分軸とは「他人を無視すること」ではなく、「自分を大切にしながら、他人も尊重すること」なのです。
むしろ、自分を大切にできる人ほど、他人にも優しくなれます。無理に合わせたり、心にもないことを言ったりしないからこそ、誠実な人間関係が築けるようになります。
3. 自分軸が決まるとどう変わるのか
自分軸が定まると、人生のあらゆる場面での「迷い」が減っていきます。たとえば、仕事での進路選び、人間関係の距離感、日々の暮らしの選択など、これまで「どっちが正解かわからない」と悩んでいたことに対して、自分なりの基準で判断できるようになります。
さらに、自分軸がある人は「選択したことに責任を持てる」という強みがあります。他人の意見に従った結果うまくいかなかった場合、「あの人のせいだ」と感じてしまいがちですが、自分の意志で選んだ道なら、たとえ失敗しても「学び」や「経験」として受け止めやすくなるのです。
また、人との関係性にも良い変化が現れます。自分軸があることで、相手の意見に左右されすぎることが減り、必要以上に無理をしたり、自分を抑えすぎたりしなくなります。これは、「自分を大切にする力」が育ってきた証拠です。結果的に、無理なく自然体で人と接することができるようになり、信頼関係も深まっていきます。
自分軸を持って生きることは、自己中心的になることではなく、「自分に正直に、誠実に生きる」こと。それは、静かな自信となって、あなたの言動や表情に滲み出てくるでしょう。
まとめ
今、あなたの毎日の選択や行動は、どこから来ていますか?
誰かの期待を背負っていませんか? 「正しさ」や「常識」にしばられていませんか? 「自分の心の声」を、ちゃんと聴けていますか?
日々の生活の中で、気づかないうちに私たちはたくさんの「ねばならない」に縛られています。「こうすべき」「普通はこう」「人にどう思われるかが気になる」それらの声に従っているうちに、自分の本音はどこかに押し込められてしまうこともあるでしょう。
でも、自分軸は、そうした「外の声」から少し離れて、「内なる声」を取り戻すプロセスです。たとえば、「私は本当は何がしたい?」「どんなときに幸せを感じる?」「どんな人といると心が落ち着く?」と、日々自分に問いかけることから始まります。
自分軸は、一朝一夕でできるものではありません。まるで筋トレのように、少しずつ繰り返していくことで育っていきます。ですが、それができるようになると、人生はもっと軽やかに、自由に、自分らしく輝いていきます。
今日から、少しずつ「自分の軸」を意識してみませんか? 自分の声を聴く時間を、毎日の中にほんの少しでもつくってあげましょう。それがあなたの人生を変える第一歩になるかもしれません。
しんしん心理研究所では「自分らしく自分のために生きる人を全力でサポートする」を理念に活動しています。
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