あなたのモヤモヤ「長女病」かも?

コラム

こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingo(しんしん)です。皆さんは「長女病」という言葉を聞いたことはありますか?長女として育つ中で経験する特有の心理的・社会的なプレッシャーやストレスに由来する、心の負担や行動パターンを指す言葉です。これは医学用語ではありませんが、家族構成や文化的な背景において長女としての役割や期待が大きく影響することがあります。今回はこの「長女病」として表現される心理的な側面、長女としての役割の圧力、そしてどう向き合い、乗り越えていくかについて詳しく考察します。

1. 長女に対する期待と役割の圧力

長女は、親にとって最初に生まれた子供であり、親にとってもすべてのことが新しい経験の連続です。そのため、親は長女に多くの期待を抱きがちです。家族の中で模範的な存在となることが求められることが多く、自然と「お姉ちゃんなんだから」と言われる場面が多々あります。 特に日本では、家庭のことは主に女性が行う家族観があり、長女のリーダーシップや家族の支え役としての役割を期待する傾向にあったことが考えられます。

幼い頃から「お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」といった言葉をかけられて育つことで、長女は周りの期待に応えることが自分の役割だと感じるようになります。その中で強い責任感や、自分自身の感情や欲求を後回しにする傾向が生まれがちです。自分の意思を抑え込み、周りの期待や要求に応えることが当然だと感じるようになります。

2. 長女としての責任感とプレッシャー

長女は、家族内での「小さなお母さん」として、弟妹の面倒を見たり家庭内の問題を解決するために貢献することが期待されます。弟妹の面倒を見たり、親の代わりに家事をこなしたりすることが長女の役割として無意識のうちに「自分がやるべき」と思うようになります。

この状況で、長女は自然と自己犠牲の精神を育みやすく、周囲の期待に応えようとするあまり、自分の気持ちや欲求を抑圧することがあります。 特に、親が「お姉ちゃんなんだから」という意識を強く持っている場合、長女は自らが望む以上の責任を負わされることが多く、精神的な疲労やストレスが日常的に生まれます。

また、社会的にも「長女」としての責任感は強く求められます。 特に職場や友人関係でも「リーダーシップを発揮すること」や「頼られる存在」であることが期待されるシーンが多いでしょう。長女として育った背景から、長女は知らないうちに「頼られる存在でいなければいけない」と感じ、自分の存在意義として「自分を犠牲にしてでも人の役に立つことが大切」という価値観を持ってしまう傾向が強くなりがちです。

3. 長女として育った影響による行動パターン

長女としての役割や責任感は、成人後の行動パターンや人間関係にも大きな影響を与える可能性があります。 大人になってからも、長女は自分が「周りを支えるべき存在」としての役割を無意識のうちにに引き継ぎ、職場やパートナーシップに関しても同様の行動をとりがちです。

例えば、職場では自然とリーダーシップを発揮し、他人の面倒を見る役割を担うことが多いです。 また、プライベートでは友人やパートナーに対しても「自分が支えなければいけない」という意識を持ち、自己犠牲的な行動をとりがちです。これにより、無意識的にストレスを抱えてしまい、心理的な負担を感じることになります。

家庭での長女としての経験から、周りに自己主張することが苦手で、周りの要求になんとか応えようとする傾向が強い場合、結果として「燃え尽き症候群」になってしまうリスクがあるでしょう。自分では無意識のうちに周りのために自己犠牲を伴う努力を続けてしまい、いつしか心身ともに疲れてしまい、あるとき限界を迎えて急に気力がなくなってしまう危険があります。

4.「長女病」の克服方法

「長女病」と向き合うためには、まず自分が無意識に抱えている責任感や他者への配慮を見直し、自己肯定感を育むことが大切です。自分の欲求を大切にするためのセルフケアが必要です。以下に、具体的な克服方法を紹介します。

・人との距離感を見直す

長女は、他人の期待に応えようとしすぎて、自分の時間やエネルギーを犠牲にしてしまいます。そのため、他人との距離感を見直し適度な距離を保つことが重要です。周りに嫌われてしまうのではないかと恐れず、自分が本当に無理なくできる範囲内で周りと接するように心がけることが大切です。

・自己主張を練習する

自己主張が苦手な長女は、相手に意見や気持ちを率直に伝えることが重要です。 最初は難しいかも知れませんが、小さなことから始めて、自分の意見や感情を表現する練習をすることで、少しずつ自己主張ができるようになります。

・自分を優先する

相手の期待に応えることだけに意識を向けるのではなく、自分の気持ちや欲求を優先することを意識することも大切です。自分を犠牲にするのではなく、まずは自分の気持ちを優先し、自分が満たされている状態で周りのことも助ける意識を持つようにしましょう。

・専門家のサポートを受ける

「長女病」による心理的な負担があまりにも大きい場合、カウンセリングやセラピーなどの専門家のサポートを受けることも有効です。 専門家と話すことで、自分自身の感情やストレスを整理し、解消するための具体的な対策を見つけることができます。

まとめ

「長女病」は、長女としての責任感やプレッシャーが大きく影響する心理的な状態を表していますが、その根底には家族内での役割や周囲へ配慮することが「あたりまえ」の価値観を持っていることが大きく関わっています。長女として多くの責任や期待を抱えることもありますが、まずは自分の気持ちを大切にして、自己犠牲に陥らないようセルフケアや自己主張を大切にすることが心の健康を守るために重要です。
しんしん心理研究所では皆さんのお悩みに寄り添い「自分らしく自分のために生きる」お手伝いをしています。いつでも相談にお越しください。

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