こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingo(しんしん)です。
私たちは日々の生活の中で、さまざまな場面で「我慢」することを求められます。仕事でのプレッシャー、人間関係のストレス、家庭内での役割などなど。日本の文化において「我慢」は美徳とされることも多く、耐え続けることで「大人」としての評価を得られる場面も少なくありません。子供の頃から、「人に迷惑をかけないように」「周囲の期待に応えなさい」と教えられ、自然と「我慢することが正しい」と考えるようになることもあります。
しかし、その「我慢」は本当に必要なものでしょうか? 我慢しすぎることで自分の本当の気持ちに気づけなくなったり、過度なストレスが心と体に悪影響を与えることもあります。例えば、我慢を続けた結果、自分の感情を表に出せなくなったり、人に頼ることが苦手になったりすることも少なくありません。我慢を美徳とする文化がある一方で、無理をしすぎることが逆効果になる場面も多いのです。
今回の記事で、自分のためにどのように「我慢」をすることが必要なのか考えるきっかけになると嬉しいです。
1. 「我慢」には二種類ある
我慢には大きく分けて「建設的な我慢」と「破壊的な我慢」の二種類があります。
1.1 建設的な我慢
建設的な我慢とは、長期的な目標を達成するために必要な忍耐や努力のことです。例えば、スキルを身につけるための勉強や、健康のための食事管理などがこれに当たります。この我慢は自己成長につながるものであり、ある程度のストレスはあるものの、結果的に私たちにプラスの影響を与えます。
1.2 破壊的な我慢
一方、 破壊的な我慢 とは、自分の感情や欲求を無理に抑え込むことで、精神的・肉体的な負担が増してしまう我慢です。例えば、
- 自分の意見を言えずにひたすら耐える
- 人間関係のトラブルを恐れてストレスを溜め込む
- 仕事の負担が大きくても「頑張らなければ」と無理をする
このような我慢は、ストレスを蓄積させ、心身の健康に悪影響を与えます。
2. 我慢を続けるとどうなるのか?
過度な我慢が続くと、次のような問題が起こりやすくなります。
2.1 心の不調(メンタルヘルスの悪化)
無理をし続けることで、心が疲弊し、うつ状態や不安障害を引き起こすリスクが高まります。特に「自分さえ我慢すればいい」と思い込むと、周囲に助けを求めることもできず、孤独感が強まります。
また、我慢のしすぎは自己肯定感を低下させる原因にもなります。自分の気持ちを抑え込むことで、「自分は価値のない存在だ」と感じるようになり、日常生活のあらゆる面でやる気を失ってしまうこともあります。
2.2 体の不調
ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、頭痛や胃痛、不眠、肩こりなどの身体的な不調が現れることがあります。慢性的なストレスは、免疫力の低下や高血圧、心臓病などのリスクを高めることも知られています。
また、無理な我慢が続くと、食生活や運動習慣が乱れることもあります。例えば、ストレスを解消するために暴飲暴食に走ったり、運動する気力がなくなったりすることで、さらに健康状態を悪化させる悪循環に陥ることもあります。
2.3 人間関係の悪化
「自分ばかりが我慢している」と感じると、周囲に対して不満や怒りを抱きやすくなります。そして、それが無意識のうちに態度や言動に表れ、結果的に人間関係が悪化することもあります。
さらに、我慢が続くことで他人への依存度が高まりやすくなります。「これくらいは分かってくれるはず」と期待してしまい、期待が裏切られたときに強いストレスを感じる原因になります。
3. 我慢しすぎないための方法
では、どうすれば必要以上に我慢せず、健康的な生活を送ることができるのでしょうか?
具体的な対策を考えてみましょう。
3.1 自分の気持ちを大切にする
まず大事なのは、「自分の気持ちを軽視しない」ということです。我慢が習慣化している人は、自分の感情を抑え込むことに慣れすぎてしまい、「本当はどう感じているのか?」を考えることすら難しくなっていることがあります。
そのため、日記をつける、マインドフルネスを実践するなど、自分の気持ちを客観的に確認する習慣を持つことが大切です。
3.2 「ノー」と言う勇気を持つ
必要以上に我慢してしまう人は、周囲の期待に応えようとするあまり、無理なお願いも断れないことが多いです。しかし、すべてを引き受けることは、自分自身を苦しめることにもつながります。「無理なものは無理」と伝える勇気を持ちましょう。
3.3 バランスを取る
すべての我慢が悪いわけではありません。例えば、目標達成のための努力や、相手を思いやるための忍耐は必要な場合もあります。しかし、それが自分を犠牲にするレベルになっていないか、定期的に振り返ることが大切です。
3.4 ストレスを適切に発散する
我慢することが続くと、ストレスが溜まりやすくなります。そのため、意識的にストレス発散を心がけましょう。運動や趣味の時間を持つ、友人と話す、マインドフルネスを実践するなど、自分に合った方法を見つけることが重要です。
3.5 助けを求める
一人で抱え込むことは、さらにストレスを増やす原因になります。信頼できる人に相談したり、カウンセラーや心理士など専門家のサポートを受けることも考えましょう。
まとめ
「我慢」は時に必要なものですが、無理をしすぎると心身に悪影響を及ぼします。我慢ばかりの人生ではなく、「自分を大切にする生き方」を意識してみませんか?
自分の感情を大切にし、必要以上に我慢しない習慣を身につけることで、より健やかで充実した毎日を送ることができるはずです。また、我慢することと協調性を持つことのバランスを見極めることで、人間関係を円滑に保ちながらも自分の心を守ることが可能になります。
さらに、自分を大切にすることは、他人との関係においても良い影響を与えます。自己犠牲の上に成り立つ関係は長続きしにくく、無理を重ねることで関係が破綻することもあります。自分の意見を伝え、必要なときに助けを求めることで、相手との信頼関係を深めることができます。
無理をしないための具体的な工夫として、定期的に自分の気持ちを振り返る時間を持つことや、リラックスできる趣味を持つことが役立ちます。適度な休息やストレス解消法を取り入れながら、自分をいたわる生活を意識してみ
ましょう。
しんしん心理研究所では自分らしく自分のために生きる人を全力でサポートしています。
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